鋼材の焼入れ,熱処理,JIS規格鋼製品の材質,種類,品質,試験等

 

臨界冷却関数/臨界冷却速度/臨界直径/理想臨界直径



”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語のうち、『臨界冷却関数』、『臨界冷却速度』、『臨界直径』、『理想臨界直径』のJIS規格における定義その他について。

主に圧延、鋳造又は鍛造された鋼の熱処理に関する主な用語として、鉄鋼用語(熱処理)(JIS G 0201)において”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語には、以下の、『臨界冷却関数』、『臨界冷却速度』、『臨界直径』、『理想臨界直径』などの用語が定義されています。

鉄鋼用語(熱処理)
⇒【焼入れ、焼戻し及び時効】


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3207(3.41)

用語: 臨界冷却関数

定義:
好ましくない組織の現れることを避けて、所定の変態を十分完了させるに必要な最低の冷却条件に対応する冷却関数。
備考:
この用語は本来マルテンサイト、ベイナイトなど、対象の変態を示すことによって使用すべきだが、特にことわりがない場合、マルテンサイトに対して用いられる場合が多い。

対応英語(参考):
critical cooling function


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3208(3.42)

用語: 臨界冷却速度

定義:
臨界冷却関数に対応するマルテンサイト変態を生じるのに必要な最小の冷却速度。
備考:
マルテンサイトが初めて生じる最小の冷却速度を下部臨界冷却速度(lower critical cooling rate)といい、マルテンサイトだけとなる最小の冷却速度を上部臨界冷却速度(upper critical cooling rate)という。

対応英語(参考):
critical cooling rate


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3209(4.14)

用語: 臨界直径

定義:
与えられた条件下での焼入れによって、その中心部において50%マルテンサイト組織をもつ長さ 3d(dは直径)以上の丸棒の直径。
備考: 通常、D0の記号を用いる。

対応英語(参考):
critical deameter


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3210

用語: 理想臨界直径

定義:
理想焼入れ(焼入剤の冷却能を無限大と仮定した場合の焼入れ)したときの臨界直径。
備考: 通常、D1の記号を用い、焼入性
(※1)の比較基準とする。

対応英語(参考):
ideal critical deameter


(※1)
焼入性とは、鋼がマルテンサイト又はベイナイトなどへ変態しやすいことによって焼入硬化が得やすいことを表す性能のことです。