鋼材の焼入れ,熱処理,JIS規格鋼製品の材質,種類,品質,試験等

 

焼入性倍数/質量効果/自硬性/冷却能



”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語のうち、『焼入性倍数』、『質量効果』、『自硬性』、『冷却能』のJIS規格における定義その他について。

主に圧延、鋳造又は鍛造された鋼の熱処理に関する主な用語として、鉄鋼用語(熱処理)(JIS G 0201)において”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語には、以下の、『焼入性倍数』、『質量効果』、『自硬性』、『冷却能』などの用語が定義されています。

鉄鋼用語(熱処理)
⇒【焼入れ、焼戻し及び時効】


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3203

用語: 焼入性倍数

定義:
合金元素を添加したときの理想臨界直径と、添加しないときの理想臨界直径との比。
備考: 焼入性倍数は、一般に合金元素の添加量と共に増加する。

対応英語(参考):
multiplying factor


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3204(4.36)

用語: 質量効果

定義:
質量及び断面寸法の大小で、焼入硬化層深さ
(※1)の異なる度合い。質量及び断面寸法のわずかな変化で、焼入硬化層深さが大きく変化することを、質量効果が大きいという。
参考: ISO の定義では、冷却挙動に及ぼす物の大きさの効果。

対応英語(参考):
mass effect


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3205

用語: 自硬性

定義:
焼入温度から空気中で冷却する程度でも、容易にマルテンサイトを生じて硬化する性質。

対応英語(参考):
property of self hardening


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3206(3.117)

用語: 冷却能

定義:
焼入れに用いる冷却剤の冷却能力。
備考: 急冷度(quench severity index)又は H値(severity of quench-ing)、で表すことがあるが、定義が確立していない指数である。

対応英語(参考):
cooling power,
quenching capacity


(※1)
焼入硬化層深さとは、焼入れで硬化する深さのことで、高周波焼入れ又は炎焼入れによって硬化する深さについては、有効硬化層深さ及び全硬化層深さが以下のJIS規格に規定されています。

JIS G 0559
鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法