鋼材の焼入れ,熱処理,JIS規格鋼製品の材質,種類,品質,試験等

 

過冷/水じん(水靭)/鋭敏化,鋭敏化処理/オースエージ



”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語のうち、『過冷』、『水じん(水靭)』、『鋭敏化,鋭敏化処理』、『オースエージ』のJIS規格における定義その他について。

主に圧延、鋳造又は鍛造された鋼の熱処理に関する主な用語として、鉄鋼用語(熱処理)(JIS G 0201)において”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語には、以下の、『過冷』、『水じん(水靭)』、『鋭敏化,鋭敏化処理』、『オースエージ』などの用語が定義されています。

鉄鋼用語(熱処理)
⇒【焼入れ、焼戻し及び時効】


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3133

用語: 過冷

定義:
変態の析出の一部又は全部を阻止して、変態点以下又は溶解度線以下の温度に冷却する操作。

対応英語(参考):
supercooling


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3134

用語: 水じん(水靭)

定義:
高マンガン鋼などを固溶化温度から水中急冷して完全なオーステナイト組織を得る操作。

対応英語(参考):
water toughening


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3135(4.47)

用語: 鋭敏化,鋭敏化処理

定義:
粒界への炭化物の析出による、粒界腐食に対するステンレス鋼の感受性の増加。
備考:
粒界腐食に対する抵抗を研究するために、鋭敏化処理が用いられる(ISO 3651-2 参照)。
鋭敏化処理:
オーステナイト系ステンレス鋼の粒界腐食試験を行うために、500〜800℃の温度範囲に加熱して、粒界腐食に鋭敏な組織状態にする熱処理。

対応英語(参考):
sensitization


分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効

番号: 3136

用語: オースエージ

定義:
過冷オーステナイトをMs点以上の温度で時効する処理。
備考: 例えば、ある種の析出硬化系ステンレス鋼(SUS631など)に対し、Ms点
(※1)の調整などの目的で行う。

対応英語(参考):
ausageing


(※1)
Ms点とは、変態温度(相変化の起こる温度で、変態が温度範囲にわたって起こるときは、変態が開始し、終了する温度)の一つであり、冷却の間にオーステナイトがマルテンサイトに変態し始める温度のことです。