ベイナイト焼入れ/スラッククエンチ/鍛造焼入れ/マルテンパ
”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語のうち、『ベイナイト焼入れ』、『スラッククエンチ』、『鍛造焼入れ』、『マルテンパ』のJIS規格における定義その他について。
主に圧延、鋳造又は鍛造された鋼の熱処理に関する主な用語として、鉄鋼用語(熱処理)(JIS G 0201)において”焼入れ、焼戻し及び時効”に分類されている用語には、以下の、『ベイナイト焼入れ』、『スラッククエンチ』、『鍛造焼入れ』、『マルテンパ』などの用語が定義されています。
鉄鋼用語(熱処理)
⇒【焼入れ、焼戻し及び時効】
分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効
番号: 3117
用語: ベイナイト焼入れ
定義:
ベイナイト(※1)組織を得るような焼入れ。
対応英語(参考):
bainitic hardening
分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効
番号: 3118
用語: スラッククエンチ
定義:
オーステナイト化温度から臨界冷却速度よりやや遅い速度で冷却して行う焼入れ。
備考:
この場合、鋼は完全に硬化せず、マルテンサイトのほかに、又は、マルテンサイトに代わって、一種又はそれ以上の変態生成物を生じる。
対応英語(参考):
slack quenching
分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効
番号: 3119
用語: 鍛造焼入れ
定義:
オーステナイト状態で鍛造を施し、そのまま直ちに行う焼入れ。
備考: 鍛造を安定オーステナイト状態で行うものと、準安定オーステナイト状態で行うものと2種類がある。
対応英語(参考):
direct quenching from forging temperature
分類: 鉄鋼用語(熱処理) > 焼入れ、焼戻し及び時効
番号: 3120(3.97)
用語: マルテンパ
定義:
オーステナイト化後、階段焼入れを行う熱処理。この階段焼入れは、Ms点の直上の温度にフェライト、パーライト又はベイナイトの生成を避けるのに十分な速度で焼入れ後、均一な温度に、しかも、ベイナイトの生成を避ける上で十分に短い時間保持する熱処理。
備考1. その間にマルテンサイトが実際上全断面にわたって形成される。最終の冷却は、一般に空気中で行われる。
備考2. その目的は、焼入れによるひずみの発生や焼割れを防ぐとともに、適切な焼入組織を得ることである。
備考3. マルクエンチ(marquenching)ともいう。
対応英語(参考):
martempering
(※1)
ベイナイトとは、パーライトが形成される温度と、マルテンサイトが形成され始める温度との間の温度間隔で起こるオーステナイトの分解によって形成される準安定構造物で、炭素がセメンタイトの形を取って微細に析出しているフェライトからなるもののことです。
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